今回は、自由ヶ丘にあるマダム御用達ブティックとして知られている「ベル・ブランシェ」のオーナ兼デザイナーでいらっしゃる河手美枝子様にブティックを始められた当初の貴重なお話をお伺いいたしました。25年に渡って、女性のためのおしゃれバックを作り続けていらっしいます。
今から5年ぐらい前に私は河手様のブティックを知りました。真っ白な洋館の中には、いつも夢広がるステキなバックが飾られています。それからたびたびこちらのお店でバックを買うようになりました。
ヨーロピアンエレガンスのテイストを醸し出すイタリア、ベルギーなどのゴブラン生地を使った軽くて持ちやすいバックは私の日常に楽しみと彩りを与え続けてくれます。
今から25年ほど前、主婦業をしながら
自宅でバックを創り始めました。
【マダム】
本日は大変お忙しい中、貴重なお時間を作っていただき、ありがとうございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
私は普段からベルブランシェさんのバックを使わせていただいています。とても気に入っています。(バックを見ながら)河手社長様が今のお仕事を始められるきっかけについてお話をお伺いしたいと思います。
【河手さん】
はい、もともとは帽子づくりをしたり、アートフラワーを教えたりしていました。当時は主婦業をしながらのんびり家に集まってくださった方に教えていました。
私は昔ラジオ局でアナウンサーをしていたのですが、その関係で優秀な女性たちが結構お稽古に来て下さっていました。みなさん結婚してお仕事をお辞めになった方々です。その時、このような優秀な女性たちをこのまま放っておくのはもったいないと思いまして、その方たちと何かできないかしらとバック作りを自宅ではじめたのがきっかけです。
当時はお買い物に行くとき、自分が気に入ったおしゃれなサイドバックが欲しいと思いましてね。帽子の材料を利用して自分たちのためにラメネットで手提げバックを創りました。それがとても好評で。楽しい物を作ったんです。それがどんどん周りに広がって仕事になっていったというのがきっかけです。当初は自宅のミシンで10枚から20枚創っていました。主婦業の傍らお客様に育てていただきながら広がっていきました。
子どもの時、初めてのおねだりは
「タータンチェックのヨーロッパの色合いの布」でした。
【マダム】
少女時代はどのようなお子様でしたか?、またどんなことにご興味があったお子様でしたか?
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ベル・ブランシェのブティック内には
エレガントなバッグや小物がいっぱい
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【河手さん】
学生の頃は学芸会、演劇をする少女でしたね。
私は末っ子で甘えん坊な子でした。私が子どもの頃は物のない時代でしたから、いつも姉のお下がりを着ていました。
小学生のある時ですねえ、お友達の洋装店で見つけたタータンチェックのようなヨーロッパの色合いの布を見つけました。その布が欲しくて母に初めておねだりしました。一週間ねばりにねばっておねだりしました。(笑)
この布でどうしても洋服が作りたかったのです。このことは今でも強烈に覚えています。
【マダム】
では小学生の時、すでに生地を使って物を作るということに目ざめていらしたのですね。
【河手さん】
はい。姉がとても器用な人でお人形など作るのが上手でした。姉からいろいろ教えてもらいました。
私は丁寧さはないのですが組み合わせやコーディネートするのが好きでした。結婚して主婦になってから何か勉強したいと思い、帽子作りの勉強をし始めました。
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ベル・ブランシェのオーナー、河手美枝子さん
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仕事を始めたとき、子どもは小学生と中学生でした。
【マダム】
仕事を続けられてご苦労されたこと、そして、そのご苦労をどのように乗り越えられたのかお伺いしたいと思います。
【河手さん】
当時は働く母が少ない時代でした。ですから、子育てをしながら仕事を持つ母には世間の目が厳しい時代でした。子どもがいたずらすると母親が働いているからと言われてしまいます。ですから、そのような目を向けられぬよう、主婦を完全にしながら仕事をこなすということを必死でいたしました。
これをどのように乗り切ったかと申しますと、時間を上手に作ることでした。智恵を働かせて。暇がないから何も出来ないと言う考えではなくて・・・・。
そして周りのいろいろな方の助けを借りました。仕事仲間、家族、たくさんの方の助けがあって乗り切れました。
【マダム】
私も子育てと仕事を両立させたいと思いながら、なかなか難しいと実感しています。河手社長様が仕事を始められた当時お子様は何歳ぐらいでしたか?
【河手さん】
当時、子どもは小学生と中学生でした。
【マダム】現代のように働くお母さんが多くなった時代、河手社長様のお話はとても勇気づけられます。
私が一番こだわり続けているのは「さわやかである」ということです
【マダム】
最後に河手社長様が大切にしていらっしゃること、長年こだわり続けていらっしゃること、思いなどお伺いしたく思いますが。
【河手さん】
おしゃれについていろいろあると思うのですが、私が一番こだわり続けているのは「さわやかである」ということです。このことはとても好きなんですね。
「そして目立たないように目立つ」
「別れた後の印象を大切にしたい・・・
ふと思い出してもらえるようなステキなものは・・」
そのような印象を持っていただけるように作っていきたいと思っています。
そしてその場その場にふさわしいおしゃれをいつも心がけています。基本はあまり崩さず伝統的なものを大切にして新しい感覚をも常に取り入れていきたいです。
私は、決して豊かな生活ではなかったのですが、「品がある、ない」という観点で選ぶことを小さい頃から母に教えられました。その教えられた感性は今の物づくりの中で役に立っているような気がします。使い捨ての時代に入っているので良いものを大切に持ってもらうということを今一度思い返しています。
河手社長様は、物腰がやわらかで本当にお優しく爽やかなお方です。そのお人柄がベルブランシェの品々にはにじみ出ています。とても温かみがあり私が好きなバックです。
最近はクリスマスローズを育てガーデニングにも夢中だそうです。いつも感性を大事に過ごしていらっしゃる環境はバック作りのアイデアに繋がっているのかも知れません。東京と関西方面を月に何度も往復される大変お忙しい中、快くインタビューをお引き受け下さった河手社長様に心より感謝を申し上げます。
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