この講座では、心地よいバレエ音楽が流れるなかで、毎回身体をリラックスさせ、骨と筋肉が正しい位置にのるよう、鎖骨や正中線を意識して、呼吸を整えていくことから入ります。それから立ったまま膝を曲げたり、足の指でしっかり身体を支え、かかとをあげる動作などをゆっくり鏡を見ながら行います。このときに、ワンポイントでバレリーナが行うストレッチやエクササイズを伝授されます。その後、実際に歩いてみるのですが、普段の生活で、どこかにくせや歪みが出るものですから、各々の直したほうがよいところを由美子先生が指導してくださいます。私は思いこみで勝手な筋肉トレーニングや歩き方をしてきたため、ふくらはぎの筋肉が太くなってしまいましたが、バレエの足のポジションやストレッチを徐々に教わるうち、脚全体の形が変わり、引き締まってきました。

身体を動かしたあとは、ハーブティをいただきながら、バレエの歴史や演目のエピソード、美しさについての色々なお話を、由美子先生にうかがいながら、日々の生活で改善してみたことの報告、質問などをする時間になります。普段こんなところを直したい、食べるときに美しく見える仕草とは、等々、話はつきません。生徒の方が、見目麗しいお菓子を持参してくださるときもあり、ずっとこの時間が続けばいいのに、と思ってしまいます。
私がこの講座に参加した動機は、バレエ音楽とバレリーナの美しい姿に憧れていたこと、普段デスクワークが多く運動不足のため、身体を動かしたかったからです。
それまでは、体重が60キロ以上あり、着るものもメイクも適当。講座申し込みをしてから、バレエ経験のない私にできるのかしら、おしゃれにも手を抜いていたので恥ずかしいなどと不安で、緊張しながら教室であるホテルへ向かったのをおぼえています。
怠け者の私が、サロン講座に休むことなく通うことができるのは、講座の雰囲気がとても暖かいからです。「美を競う」のではなく、「お互いの長所を認め、高めあえる」ことができるので、心地よく、幸せな気分になれるのです。また、お茶を楽しみながら先生や生徒の皆さんの話を聞くうち、身体だけでなく精神的な部分もどんどん変わっていくのがわかります。今までは職場でグレーやベージュの服ばかりを着ていて、なるべく目立たないようにしていました。由美子先生が「一日なるべく多く鏡をみること」「少しの時間でいいので美しいものを楽しむこと」など、アドバイスをくださり、姿勢に、服装にと、少しずつ実践していくうち、自分が本来美しいものがとても好きであることに気づき、さらにエレガントで美しい女性になっていいのだ、という許可を自分に出せるようになりました。職場でも、美しさ、ていねいさなどを大事にするようになり、忙しい時期もそれらの気遣いが仕事の能率を高めることにもなりました。
今は、情報があふれ、流行などもめまぐるしく変わり、好きでもないのに、流行っているから、と何となく買い物をしたり、逆に機能ばかりを追い求めたりと、息つくひまもないような生活をしてしまいがちです。この講座では、由美子先生の美しさにうっとりとなりながらも「こんなふうになれるのかしら、私には無理」というあきらめモードから、先生が指摘してくださった思いがけない長所をいかしながら、「じゃあ、こういう服を着てみよう、こんなことも試してみよう」というように自分の身体や資質を認め、表現していくようになります。
残りのレッスンで、どれだけ姿勢や感性がかわっていくか、今は本当に楽しみでしかたありません。