「ようこそいらっしゃいました」
レッスンでお会いするたび、マダムは必ずそう言って私たちを迎えてくださいます。夏の暑い日も冬の寒い日も、サロンはいつも春風のような優しさに包まれています。
レッスンに通い始めてそろそろ10ヶ月になりますが、内面と外面ともに大きく変わったことに、私自身がとても驚いています。変化はまず、外見的なことから始まりました。レッスンを受けて半年たったころから、姿勢の良さを褒めていただくことが多くなりました。「バレエをやってらっしゃるのですか?」と聞かれることも増えました。
これも大変うれしい変化なのですが、それ以上に、とても大切な“心の変化”が私の中に芽生えました。
それは、“美と寄り添って生きる”ことの素晴らしさに、改めて気づいたことです。
自分の立ち居振る舞いを整え、そして自分の周りのものを慈しむ生活は、最初はとても神経を使います。ですが、自分自身や自分の身近なものときちんと向き合う生活を送ることで、自分がとても癒されることに気づいたのです。
この気づきは私の仕事にも、ある変化をもたらしてくれました。
私はある企業で“音”の研究開発の仕事をしております。職場は男性の比率が非常に高く、“美しさ”という視点はほぼ皆無といってよい状況です(笑)。研究方針も、“技術革新”や“性能向上”といった観点が主でした。
しかし私は、レッスンを重ねるにつれ、“美しさ”という観点を研究に取り入れたい、と強く思うようになりました。そんな折、絶好のチャンスがやってきました。新しい研究の方向性について、研究所員の前で発表する機会が与えられたのです。
発表の場では、“美しさが持つ癒しの力”に少しでも気づいてもらいたいと考え、レッスンで学んだことを参考に、自分なりの“美空間”を演出してお客様を迎えました。
来てくださった方に心地よく過ごしていただけるよう、軽快で美しいバレエ音楽を流してお迎えしました。五感を満たしていただこうと、香を焚き、お花を飾りました。お花の色は、マダムに教わった“トータルコーディネート”の考え方を取り入れて決めました。会場の白い壁、自分が着る桜色のドレス、そしてもう一人のプレゼンター(男性)が着るブラックスーツとしっくり合うよう、濃いピンクのバラにしました。
そしてプレゼンの最初では、バレエで使われるパントマイムを使ってお客様にメッセージを送りました。つまり、踊ってしまったわけです(笑)。
メッセージは、「私はあなたに美しい音を差し上げます。どうぞ受け取ってください。」というものでした。踊りはバレエのパントマイムを基本に、マダムと私で創作したものです。
このような演出を楽しんでいただいた後、BGMを流しながらプレゼンテーションを行いました。 そこでは、“美しさがいかに日常で私たちを癒してくれているか”ということについて、なるべく身近な例を挙げて描写しました。細かな技術論よりもまず、 “美を慈しむ心”を日常のものにしてほしい、美は特別なものではなく、それに寄り添って生きることが人にとってとても癒される生き方なのです、というメッセージを込めて。そして,美しい音環境の創りかたをいくつか提案しました。
聴衆のほとんどは男性です。非常識な発表方法に驚いた方もいらしたようです。
でも、いつもは“情より合理性を重んじる”という感じの方に、「とてもいい発表でしたね。」とおっしゃっていただき、とても嬉しく感じました。
発表までの数ヶ月はレッスン生のみなさんから温かい励ましのお言葉をいただき、そしてマダムには発表の数日前までご相談に乗っていただきました。
幼いころから美しいものが大好きな私でしたが、いままでは、それはあくまでプライベートなもの、という固定観念がありました。しかし、レッスンを通して、生活全般に美を取り入れる心について学び、美とともに生きることの素晴らしさを知りました。“公私の隔たり無く、常に美と寄り添って生きる”ということが私のこれからの目標となりました。先の研究発表は最初の一歩でしたが、これからも、レッスンで学んだことを生かしながら、“美と共に生きる人生”、そして“美を創りだす人生”を楽しみたいと思っています。私の心に大きな財産を残してくださったバレリーナスタイルレッスンに、心より感謝しております。
青木さんはレッスンに通い始めて10ヶ月になりますがまだ一度もお休みしたことがない熱心な生徒さんです。お休みをされない分、「身につき方」が早いので首筋・胸元がみるみる細くキレイになっていますね。 |